野島久雄さん: 思い出を語るということ
- 現在の興味
- 人にとっての思い出の役割
- 電子的な思い出の保存とその問題
思い出工学
- 思い出の社会的な意味
- 人々が思い出を語る
- なんのために?と言われる
学びの森: 2006年度 春夏・秋冬
- 町の記録をまとめようと思ったがあんまりうまくいかなかった
- 記憶の心理学から思い出の工学まで
- 技術としてみれば、記憶することは可能になった
- それをどう利用するかがなかなか見えてこない
- インターネット時代に思い出を語る
講座のねらい
- 「思い出」の心理学と工学
- インターネット
- メディア技術
- 「思い出」を語ることの重要性
- コミュニケーションの素材としての思い出
- 技術による思い出支援の可能性と危機
- 外による知識の利用
今、なにが起こっているのか
- 心理・社会的な観点から
- 自分自身を捜し、残し、伝えたい(自伝、ブログ・・・)
- 思い出の意味(回想法)
- 工学的な観点から
- 外部情報源への依存
- 個人的な記録への注目
- 黒川由紀子「百歳回想法」
- 楽しく、リハビリ
- 何のために思い出を保存するか
- コミュニケーションのため
思い出コミュニケーションとはなにか
- 語るべきイベントは、人に語ることによって深まっていく
- 自己の確認: 思い出を振り返ることに重要性
- 自己の統合: 過去の自分、現在の自分、未来の自分を統合
- 他者からの承認: 思い出を語る相手がいる、聞いてくれるひとがいる
- 関係やコミュニケーションを活発にする
- 写真を元に思い出を語ってもらう
- 被験者もハッピー
思い出の今
- 語りたい・残したい人がいて
- 語る技術・残す技術が存在する
- しかし、
- 本当に語りたいことが語られているかどうか
- タイムカプセルを作る
現在の取り組みで考えていること
- エンタテインメントとしての質の確保
- 思い出がそれ事態で鑑賞の対象となること
- ただたんに自分語りの場になってしまう
- 思い出がそれ事態で鑑賞の対象となること
- 素材をただ単に出すのではなく、見られるアート的な物にしなければ
- 人間関係の重要性
- 人に対してしゃべる
- 語り手であると同時に人の話を引き出すファシリテータが重要
- 記録としての価値
- 語られたものは公的な側面とをもつことになる
最近の授業
- 一人8枚思い出を書いてもらう
- 自分の人生を一年ごとに一枚のpostitに書いてもらう
- 20歳より72歳の学生の方が4倍長い
思い出を語る場で考える必要があること
- 思い出を語る場は楽しい場でありうる
- 自分史、自分語りの会
- しかし、単に語ればよいのではない
- 語るための場・方法論が必要であること
- 語ることを正当化する仕組み
- プライバシーの問題
- 顕せるだけの理由
- 人目に触れさせるだけの質があるか
- 未来の自分、第三者の目から見て
- 語るための場・方法論が必要であること
Memory + への期待
- 思い出の工学をやってほしい
- 思い出を簡単にエンターティンメントにする仕組み
- どうすればみんなに使ってもらえるか
- 適切に情報が失われる仕組み
- 思い出を簡単にエンターティンメントにする仕組み
- 思い出の心理学の課題
- 思い出における真実とは
- 実質が残っている必要はない。
- 思い出コミュニケーションが重要なのか
- プライバシー概念はどう理解されるのか
- 社会的な意義をどうやって理解してもらうか
- 思い出における真実とは
思い出と工学をつなぎたいが、なかなかうまくいってないのが現状
Q and A
- Q: 太平洋戦争の話が出てたが何歳ぐらいの人?
- A: 一番上が1932年生まれ。下が20歳が一人だが、それ以外は60ぐらい
- Q: 思い出の印象は後から変わる。だから、全部取っておけば?
- A: 60代以上の人に子供の頃の話をしてもらってもあんまり
- 今後やってもらうと意味があるのかな、と。
- あった方がいいが、なくても結構盛り上がる
- Q: 日本のWebのページは日記の率が高い
- mixiを入れるとすごい
- Q: 思い出話をすると仲良くなれるとあったが、
- 占い師の人がする誘導尋問と関連があるのか
- A: ある種のコミュニケーションテクニック
- 自分自身を表に表すことは、人間関係を近づける物
- それを引き出すのは対話のテクニック
- Q: 思い出を語るときのきっかけは他者からもらい、
- 語るときの扉をあけるのは自分
- 情報と記憶は一緒くた
- 古いニュース映像を見ていると予期せぬ事が起きる
- ネット上ではまだ。それはどれが主観でどれが客観だか分からない
- A: 語るための仕組みや理由を作る。この講座が終わると
- こういうものを作ってできますよ、というのが理由になる
- 年表を作って保存、記録するその人の人生が残る、という
- 枠組みを作るというのは意味があるのでは
- 今回は思い出に興味がある人に語ってもらったが
- そうでない人にもいいのでは
- 60代の人は、「自分の人生は語るに値しない」という人が多い
- そうでないんだよ、というのを示すためにこういうのを見せる
- Q: そういう実験の時に、仮に全部publishしていいよ、というもの
- にしたらどう?
- A: そこがあんまり分かってない。
- 名前を出しません、と言って出てくるかもしれない。
- 乗っけることがどういう意味を持つのか想像できない
- 日記を公開するとどうネガティブになるか
- Q: blogは人に読まれていいものだけ書いてある。それはペルソナ、別人格であり、本当の自分ではないのでは。
- blogだけしかないと、その別人格だと思われない
- A: 普通の人は晴れの日しか写真を残さない。それでいいのでは。
- Q: 語ってしまったことだけ注目していいのかな、
- 語らなかったことに真実があるとか、ギャップがおもしろいのでは
- A: 興味深い。我々も見てみたい
- Q: 自分が出したことが好ましい結果として戻ってくることを
- 学習しない限り公開しないのでは。
- Q: 書いている人はいいことしか書いてないのではというのはその通り
- 全部丸出しにしているといいこともある。
- A: それはcost/benefitを計算して出しているが、
- 普通の人は計算できないし、出してもいいことがないと思っている
- プライバシが
- Q: 違う人、違う世代同士が思い出を元ににつながる
- A: 学生を巻き込んでやりたかったが興味ないと言われた
- 20歳の学生というのはよその学生だったり。
- 大学なんかではおもしろいのではと思う
- Q: 聞き手がいて語るのと、一人でぽつぽつと入力するのはあきらかに違う。そのあたりが工学的にできるのでは
- A: 作るときは一人でぽつぽつ。それを持ち寄ってみんなでしゃべる。できあがったあとのプロセスがおもしろい。そっちの方に興味がある。それをサポートしてくれる技術が欲しい
- Q: 共有が重要であって、 (drop)
- A: できあがった最後にこんなものができますよ、と見せるといい
- A: 目的は大学を知のアーカイブにすること。
- 問題点はリピータが出てしまうと去年と同じ事ができないこと。